先生質問!! 三十路ボクサーってどうなんですか!? | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

本栖湖


 先生「…はい、今日の遠足はここでお弁当にしまぁす!!」


 …と、わきあいあいと弁当箱を広げる生徒たちから遠く離れて、湖に向かって一心不乱に石を投げ込んでいるhigege91…。


 先生「どうしたの?どうしてみんなとお弁当食べないの?」


 higege91「…いいんだ、僕、朝たくさん食べてきたから」


 先生の心の声… あ、そうか、higege91くんは一人ぼっちで侘しい暮らしをしてるんだっけ。ここは教育者として適切な対応をとらなくちゃ…。傷つけないようにあたしのお弁当を分けてあげるにはどんな言い方がいいのかしら…?


 higege91「…先生、気にしないで下さい、僕、全然気にしてないし、好きな暮らしを選んだから仕方ないんだ…。お腹なんかちっとも減ってないんだ…」


 先生「…(ズキ!!) って、先生はまだ何も言ってないでしょう?」


 higege91「…わかるって、それくらい」


 …と、higege91、湖に向かって叫ぶ!!!


 higege91「三十路ボクサーって何!?」


 先生「ひ、ひぃ!?」


 higege91「…隣のおじさんがしょんぼりしてて、どうして?って尋ねたらシクシクとこう言ったんだ、『ああ、報われねぇもんだなぁ、三十路ボクサーはよぉ、あんなにがんばってんのになぁ…』ってぼやいたかと思うと大きなサッカーボールほどの涙をポチャリ…って零したんだよ…」


 先生「サ、サッカーボールほどの涙って…」


 higege91「三十路って三十代のことでしょ?…で、おじさんが嘆いてたのは特に先日の福島学のフィリピン王者・ガーオナーとの世界前哨戦、リターンマッチでの悲しい結果についてなんだ、福島はビックリするほどパンチを喰らいまくったみたいなんだ。…で、試合は福島のバッティングによる出血が激しくて3R負傷引き分け…ってなったんだけど、その試合後の姿が頭から離れないんだってさぁ…」


 福島学、ガーオナー2


 先生「…そうね、先生も悲しかったわ。福島選手は特に親孝行で有名よね、ダイナミックグローブで登場する時はいつも客席のお母さんが映ってたし、心もとっても優しいからみんなに好かれてる…って話は良く聞くわ。応援団も一生懸命よね、『みなさーん、声援おねがいしまーす!!!』って後援者の声援もとてもいいのよね…、でも、どうしちゃったのかしらね、内容は厳しかったわよね…」


 higege91「…もともとスーパーバンタムで日本、東洋王者になってるんだよね、あのオスカー・ラリオスにも挑戦経験があって…。でも、チャンスがやってきたんだよね、ただし階級を落としてのバンタムで・・・。WBA王者・シドレンコへの挑戦が決まったのにそれぞれの負傷により2度の延期…、それでガーオナーとの世界前哨戦は僅差判定勝ちしたものの内容が悪くて、それで今回のガーオナー2だったのに余計悪い内容だった…、おじさんは長屋に住んでるんだけど昼間から一升瓶抱えてグイグイやってもう大変なんだ…」


 先生「…でも、三十路を超えてからの階級下げ…って相当に難しいみたいね。若いうちはまだしも、肉を殺ぎ落とすような苦しみみたいね。さらに衰え始めた肉体を酷使しながら鍛えなくちゃならない…ってことでしょ?厳しいけど、もう後戻りは出来ないし、苦しいけどそんな現実とも闘わなくちゃならないし…、応援するしかないわよね、とにかく…」


 higege91「…うーん、そんで35歳の現役世界王者・越本隆志だけど、前回は世界戦を地元で無理して行って「ノーギャラ」だけどベルト奪取!!! …で、初防衛戦でそれ相応の報酬を得られないほどのチケットの売れ行きの悪さ…ってこともおじさんは嘆かわしい!! …って零してたよ。夢の世界王者…になっても厳しい現実が三十路ボクサーを苦しめるよね」


 越本隆志


 先生「そうねぇ…、開催が関東圏だったら先生も迷わず観に行くけど九州ではそう簡単には出かけられないしねぇ…。でも、地元の皆さんにもっと広報しなくちゃダメなのよねきっと…、認知されなくちゃ、先ずはね…。この『奇跡のベルトの意味』を知ってもらわなくちゃダメよね…」


 higege91「…さらに、未だにがんばり続けてる三十路世界ランカーたちも忘れてはいけないよね、西岡利晃選手(WBA・SB級3位・WBC4位)、嶋田雄大選手(WBC・L級7位)、内藤大助選手(現日本・OPBF・F級王者)、長嶋建吾選手(現日本L級王者)、川嶋勝重選手(前WBC・SF級世界王者・現1位)、トラッシュ中沼選手(WBA/CそれぞれF級6位)…と、忘れちゃいけない選手がたくさんいるんだよね、でもみんなラストチャンスを掴めるかどうかの瀬戸際で闘ってるんだよね、負けたらランクを奪われて引退必死…」


 先生「そうね、でも世界ランカーだけが三十路ボクサーじゃないわ、有名無名を問わず戦い続けている選手ってかなりいるのよ、さらに44歳で現役の横田宏明選手や西澤ヨシノリ選手も忘れてはいけないわ、四十路選手もがんばってるわ、経験が最も有効な武器となる場合だってあるんだから…、勢いとパワーだけではどうにもならないわ、カケヒキが勝利の鍵を握るの…」


 higege91「そうだよね、みんな『壁』と『限界』と真正面から向き合って戦ってるんだよね、ちょっと三十路小学生のhigege91としては19歳の亀田興穀が横浜アリーナ満員にして越本隆志が四苦八苦してるって聞いてヤキモチ焼いちゃったり、若い選手の台頭に感動しながらも不穏に感じてちょっとナーバスになっちゃってるんだよね、マイペースだよね、何事も急がば回れだ、ベテランらしく見極めなくちゃね…」


 先生の声…ああ、higege91くん、でもあなたは急いだ方がいいのよ、悠長に構えてる場合じゃないのよ・・・、ボクサーたちはみながんばっているのよ、あなたはなにもがんばってないじゃないの!? 好きなことを仕事にしているくせに、疲れた振りして暴飲暴食、惰性と欲まみれな日々…。揚句の果てがそのアンパンマンのような顔面…。知っているのよ、イーグル京和選手とツーショットの写真を撮ってもらってその顔面が2倍以上大きくてあなた自身あまりの違いにビックリして、ホルへ・リナレス選手とのツーショットでもその違いに腰を抜かしそうになって、止めはあのファイティング原田さんよりも断然大きくて愕然として1週間立ち直れなかったことを…。


 higege91「…ああ、隣のおじさんに教えてあげなくちゃ」


 先生「何を?」


 higege91「…何事も経験だってね」


 先生の心の声… ああ、何を言っているのあなたは…。あなたはその経験を生かせなくて今のこの「テイタラク」なのよ…。経験を生かせない人間のことをこの世界では何と言うか知っているの?


 …バカ


 っていうのよ。ああ、かわいそうだけどそればかりは自分で気がつかなくちゃダメなのよ、自覚しなくちゃダメなのよ…。



 先生「…higege91くん、先生のサンドイッチちょっと食べない?」


 higege91「いいよぉ(照れくさそうに)」


 先生「…さぁ食べて(…面倒くさいから早く食べてよ)」


 higege91「でも、先生もお腹空いちゃうじゃない?」


 先生「いいのよ、だって先生は先生なんだから…」


 higege91「…あはは、先生おかしなこと言ってらぁ!!!」


 先生「…(ムッとして)」


 higege91「じゃぁ、いただきまぁす!!!」


 …と、higege91、先生のサンドイッチをペロリと平らげると大きなゲップを吐く…。


 higege91「…グェッ、ご馳走様、先生はいいお嫁さんになるよ、あ、僕のお嫁さんになるんだよね、僕が世界王者になったら結婚してくれるんだよね」


 先生「…そうね、でも、クルーザー級世界王者になるのはとっても大変なんだから」


 先生は心にふつふつと沸き起こる「殺意」にも似た「嫌悪感」に逆らえなかった。そして、この三十路小学生・higege91を撲殺しかねない自分に恐怖せずにはいられなかった…。


 御愛読感謝


 つづく