亀田兄弟解雇問題…の議論には多くのコメントをたくさん頂きました。感謝。
で、この内容が「ボクシング人気・不人気」問題の議論になっていましたので、テーマを「ボクシング不人気を嘆く」へ分類しておきました。
亀田兄弟への社会的関心度は長男がランダエタと王座決定戦を争った時点で確かにある異常ともいえるピークに達していた。
マスコミ・CM露出、特にTBSの常軌を逸した亀田プッシュは壮絶でした。
ただし、この時点で古くからのボクシングファンは彼らの不道徳と、実力を煙に巻くマッチメークの理不尽、また、過剰な映像演出による偶像創造…に辟易していた。
それでも、アンチとしての立場にも拘らず、多くの方が彼ら一家の「未来」の可能性を探った…
日本人と戦って実力を証明せよ、本当の実力者と本当の実力を証明せよ、例え敗れても這ってでも戦うならばその姿を見つめようじゃないか…
そういう温情が確かにあった…
さて、しかし、この最後の温情にも限界がある…
この温情に報いて欲しいが、それを実践する場所と環境が残されるのかどうか…?
僕にはわかりませんが、続報をまちましょうか…
で、改めて「ボクシングの魅力」を考える。
三十路の僕としては、ある選手が頭に浮かぶ…
元WBC世界フェザー級チャンピオン、越本隆志選手である。
極め細やかなステップワークとスピード、距離感を重視するサウスポーボクサータイプの彼の武器は鋭いワンツー…
1996年に日本王者となり、6度防衛、2000年に世界初挑戦、WBAフェザー級王者のフレディー・ノーウッドに9RKO負け… 再起後、東洋太平洋フェザー級王座獲得、7度防衛し続け、ついに2006年1月に当時のWBCフェザー級世界王者・池に2-1の判定勝利をして戴冠…
35歳の新世界王者…
しかし、初防衛失敗… 伏兵・ルディ・ロペスに壮絶にKOされグローブを置く…
ファイトマネー無しの、手作り世界挑戦として話題を集めるも、その偉業が全国に轟いたとは言い難かった…
33歳の内藤大助選手が亀田次男と戦い、「国民の期待」に応えて全国的に認知され、愛されたのに対し、越本さんの存在は非常に報われないものであった…
「越本×池」の世界戦テレビ放送は地元九州だけであった…
全国的にはボクシングファンのみが話題にした…というのが現実であった。
また、故障を抱えた状態で臨んだ初防衛戦は実に脆く、あっけない最後であった…
満身創痍の状態で挑んだ初防衛戦… 切ない最後であった。
しかし、僕は越本隆志というボクサーが好きだ。時々思い起こしては頑張らなくちゃ…とあのフットワークとワンツーを思い出す…
ストイックに諦めず、世界の頂点を掴んだ…
池を破ったあの試合… 判定は2-1、その見る人間によっては池のアグレッシブを評価すれば負けとも思える微妙な内容での戴冠…(僕は確か1イポント差で越本さんの勝ちと観ましたが)
この際どさも実に堪らないものでありました… じわ~っと喜びが沸いてきました…
あれ、待てよ、となる方も多いかもしれない。
僕個人としては、僕の自己採点で越本さんの勝ちと見た。結果も2-1のスプリットデシジョンで越本さんの勝ち… で、彼の過去の苦難と苦節、挫折と再生を想い、際どくも掴み取ったファイトマネーゼロの世界チャンピオンベルト…のドラマチックであるが、「噛めば噛むほど的な、スルメイカ的な感動」に僕は痺れたわけでありますが、この「ドラマチック」が全国的に波及するには至らなかった…
KOで世界王座を獲得していたらもうちょっと違ったかもしれない…とか、越本さんのボクシングスタイルがよりアグレッシブで魂の燃焼がもっと目で見てわかりやすいスタイルであったならば違ったかもしれない…とか、テレビ放送があまりにもローカル過ぎた為にどうしようもなかった…とか、原因はいろいろあるかもしれない…
ボクシングの魅力の真髄であるが、僕はこの「ドラマッチック」の切実…であると考えています。
越本さんの王座獲得は「地味なドラマチック」であったかも知れないが、僕は仕事に行き詰ると、思わず池との死闘を度々思い起こします…
スピード技巧で王者の池を上回る挑戦者越本…であったが、アグレッシブとパワーは池が大きく上回る…
越本は非力な部類に入る技巧派である。その越本が池の隙を突いて打ち込むワンツーだが、いわゆる一発はないが、その魂の燃焼は熱いものが感じられた…
大砲…とは言えない。
散弾銃的散弾…であるが、この小さなかけらの様なパンチを積み重ねることでしか勝利に近づけない…
延々たる散弾の積み重ね…
この地味と言えば地味なドラマチック…
僕は痺れまくりました… 同じ三十路であるから尚更かも知れないが、とにかく痺れましたね…
さて、この渋い…というか、一見解り辛いドラマチック…を全国区で分かち合うのは難しいかもしれない。
しかし、電波と政治を駆使して作り上げられた亀田一家のボクシングと、この知る人ぞ知る35歳で世界王座を獲得した越本隆志さんのボクシング…を比べてはいけないのは承知だが、この世間的認知度のギャップには思わず歯軋りしせずにはいられなかったですね…
魂の戦い…
もちろん、どの世界タイトルマッチもそうだ…が、それが伝わったり、伝わりづらかったり…と千差万別。恐らく、ボクシングマニアでなければ理解できない奥行き…というものが存在するのは事実でありましょう…
で、あなたが辛い時に、亀田長男が苦しみながら戦ったランダエタ1における最終盤における頑張り…を思い起こして自分を奮い立たすことができるか…? いかがであろう? 僕には無理だ。
倒れても倒れても立ち上がる輪島さんや、火の玉のごときラッシュする原田さん…
あるいは、ムニョスの岩石パンチの前に苦しみながら倒れても立ち上がり、相当なダメージを負いながらも勇敢にカウンターをあわせ続けたセレス小林さん…の頑張りなどは忘れようにも忘れられない強烈な闘魂エネルギーがほとばしってますよね…
YOUTUBE アレキサンドル・ムニョス×セレス小林
(前にも紹介しましたが…)
で、次の数字をマジマジと見つめる…
39勝17KO2敗2引き分け…
これは35歳で世界王者となった越本さんの残した戦績…
この2敗はノーウッドとロペスであり、世界戦のみの敗北…
残念ながら越本さんのYOUTUBE動画は検索ではかからないですね…
さて、ボクシング人気とはなんだろう…?どのような「状態」が人気があるという状態を指すのであろう…?
僕には良くわからんですが、少しでも多くの方に僕なりの「ボクシングの魅力」を伝えられたら…という想いだけで書いておりますが、稚拙偏り激しい当方ブログでありますが、それでもよろしければまた、覗いてください…
御愛読感謝
つづく