元日本王者・中島吉謙さんからのメール… | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

僕には大きなある疑問がありました…

それはボクサー同士の「絆」、すなわち、自分の未来を賭けて、全プライドを賭けてボクサー達はリングに昇るわけですが、その拳と拳を交えたもの同士にしか分からない胸中…についてであります。

これだけは、幾度もホールへ足を運んでその精魂のぶつかり合いに絶叫し、それを脳髄に刻み込もうと僕のように活字に起こしても、どうしても到達できないある究極が存在するのだ…と感じてきました。

その戦った選手同士にしか分かち合えない「究極の極地」…

殴り合いの果てに、ボクサーと言う枠を超えてその『剥き身の人間性』と『魂』を理解し合うという極地…

これだけはいくら素人が妄想してもその断片さえ手に入れることが出来ない…のだなぁ、と常々感じておりました。

これは嫉妬、ジレンマ…の気持ちであるとも言えそうです。

で、この僕の疑問ですが、もしかしたら多くのボクシングファンの方々も心のどこかで感じておられるのではないだろうか?と、考えておりました。

溢れる感動はもちろん知っている… でも、その選手同士の『心の交流』の奥深くには、なかなか届かない…って、お感じになったことはないだろうか?

勝った選手の気持ち、敗れた選手の気持ち…

その選手本人も試合直後にはもしかしたら理解できなくて、後々こみ上げてきたり、不意に涙を流したりするのかもしれない…なんて想像してますが、それぞれの実生活や背負ったものによっても色々と響き方は違うのだろうなぁ…と妄想もしてみたり。

で、今夜はご来訪の方にスペシャルサービスがございます。


こちらは元日本スーパーバンタム級チャンピオンの中島吉謙さんのブログです。

あの当時の安定王者であった渡辺純一選手からベルトをもぎ取ってその王座を3度防衛したあの中島さんです。

で、中島さんのブログへ僕は度々お邪魔していて、コメントは残したことはないのですが、中島さんがかつて対戦した西岡利晃選手の誕生日を自らのブログで祝い、そして、9月に迫った西岡選手の世界挑戦、WBCスーパーバンタム級暫定王座決定戦への想いが記された記事を拝見、思わずメールを送ってしまったのですが、そのお返事を頂き、また、このブログでご紹介しても良いという許諾を頂きましたので、皆様におすそ分けさせていただきます。


中島さんは過去に僕のブログのコメント欄に登場して貰っていて、何度かそこで会話させていただいておりました。それでは、先ず、その中島さんの記事を読み、そこへ宛てた僕のメール内容からご紹介します。

■中島さま 

お疲れさまです。そして、今回のエントリーは非常に胸に込み上げるものがあり、プチメしちゃいました。あの世界挑戦者決定戦ですが、丁度先日のダイナミックグローブ生中継のメインが1RTKOで終ってしまい、OAされてました。久々に観ましたが、素晴らしい試合でした。中島さんの魂のほとばしり…輝いていますね。西岡さんはずーっと待ち続けてきました。対戦相手のナパポーンというタイ選手、観たことがないのでわかりませんが、29歳で45戦39KO2敗という驚異の戦績の持ち主ですね。凄まじいKO率ですね。最近は真っ向勝負を辞さない西岡さん、どういう戦い方をするのでしょうかね?あの「左ストレート」がカウンターとなってナパポーンがひっくり返る姿を妄想してますが、楽しみです。で、中島さんはあの西岡さんの左を両国で食って尻餅をつきましたが、すぐに立ち上がって首をひねって微笑んでましたね。本当にタフでしたね。あれは効いていない、タイミングで取られたダウンのように見えましたが、実際は「くぅ~」となっていたのでしょうか?いや、あの後もすぐに打ち合いっていたしな…と今でも見るたびに中島さんの強靭なタフネスにはぐぐぐ…っと来ます。いい試合でした。感動をありがとうございました。また、暫くしたらあの試合は見たくなると思います。

ロック野郎 HIGEGE91

…で、お待ちかねのそのお返事いただきました。

■higegeさん、プチメ有難う御座います。いつもブログを楽しく読ませてもらってます。西岡さんとの試合、素晴らしい試合と言って頂き少し複雑ですが・・・higege様の記憶に残ってくれて嬉しいです。あの試合は西岡さんの出来に期待してるファンは多かったですからね。あくまで僕はオマケみたいな(笑)
今の西岡さんに油断という事はないでしょうし次こそラストチャンスの気持ちで挑むでしょうから僕まで熱くなってきます。世界チャンピオンでウィラポン以外との対戦が見たかったです。

やはり拳を交えたボクサーとしてそして一ファンとして西岡さんがベルトを巻く姿がみたいです。
僕的に西岡さんは足を使った方がいいと思います。そしてカウンターで一発と言わず何発も決めて・・・また足を使う。今回は挑戦者という立場ではないので西岡さんが最も得意とする戦いをしてほしいな、と思います。想像するだけで楽しみですね!!

あの西岡さんとの試合のダウンは自分がガムシャラに攻めて左ボディーを打った時にタイミング良くもらってしまいました。バランスが悪かったのとパンチが見えてなかった事によって倒れましたが、効いてはなかったです。実は僕、試合で4回戦の時から結構ダウンした事あるんですが効いたと思う事は一度もないんです。だったらダウンするな、という話になると思うんですが相手のパンチを見てなかった時にもらうパンチ(フェイントとか予測してなかったパンチ)で倒れてました。ダウン後、微笑んだのはやってしまったなぁ~という苦笑いと試合が心底楽しかったからです。いつかhigege様とお会いしてお話が出来ればと思います。higege様、今後とも宜しくお願い致します。                                                                                                     

                                                           中島吉謙
…ありがとうございました。

そう、西岡選手と戦った中島さん、両国国技館で新井田選手の世界戦の前座で、世界挑戦者決定戦と銘打たれた黄金カードづくしの最高の興行でした。

国内の世界ランカー同士の激突による長谷川×鳥海、仲里×木村、そして、西岡×中島…でした。

この「西岡×中島」ですが、当時中島さんは現役の日本王者であり、この試合はノンタイトルの10回戦でした。

当時、中島さんといえば驚異的なスタミナと打たれ強さを武器に、非常に攻撃的に手数を振るってゆく右ボクサーファイターでしたね…

で、この西岡選手は皆さんもご存知だと思いますが、あのウィラポンと戦って2敗2ドロー… で、確かこの試合が4度目の世界挑戦後、階級をスーパーバンタムに上げてのいきなりの大一番…であったように記憶しています。

一瞬の踏み込みと閃光のような左ストレートによって生み出された芸術的カウンターが武器の左ボクサーファイター…

この日本トップボクサーの激突とあって、僕は非常に胸を躍らせた戦いでした…


試合は激戦、西岡選手は早々と両瞼をカット、西岡選手が序盤距離感を制するも、中島さんはチャンスに攻め手を緩めることなく積極果敢に打って出て、その間隙を縫ってさらに西岡選手が攻め込むという息をする間もない試合展開が立ち上がりから続きました…

見栄えの良い有効打は西岡選手か、しかし、そのアグレッシブは中島さんか…って拮抗した内容でした。

R7、西岡選手の伝家の宝刀・左ストレートが炸裂、ダウンシーン…ありました。

しかし、中島さん、そこからも旺盛な手数とアタックは底なしでした。両者勇猛果敢に攻め合ってゴング…

試合は判定で西岡選手の勝利となりましたが、中島さん、判定コール直後に西岡選手の腕を自ら掲げられ、その目には恐らく涙が滲み、その喜びと悔しさとある種の達成感とが入り混じった表情に、僕はぐっと来ました…

あの時の中島さんの心の形…を想像して、僕は心臓と脳髄がビリビリと痺れたことをよーく覚えています…

そして、この度、ついに5度目となる世界挑戦が決まった西岡選手への激励の想い…

これが、言葉を超えた「拳と拳の会話」を経たボクサーの気持ち…

中島さん、本当にありがとうございます。僕も西新宿の「もうやんカレー」は良く食べにゆきます…(関係ないか?)

で、中島さんはこの後に同じ夜に仲里繁選手と戦って引き分けた木村章司選手に1-2のスプリットで敗れ、引退なさったのですが、タイミングのいいカウンターを喰ってダウンこそ奪われたものの、この試合もまた非常に拮抗した内容でしたので、その引退が惜しまれたわけですが、現在は「サラリーマン」としてがんばっておられるご様子…

で、この木村選手は初防衛失敗、仲里選手は敵地フランスの地で当時のWBA王者・モンシュプールに敗れました…

思えば、この頃もスーパーバンタムは熱かったなぁ…

ついに西岡選手の世界戦が実現か…

そう言えば、西岡選手、過去に日本バンタム級タイトルマッチで仲里選手と戦っていますね…


このような選手たちの『戦いの連環』を知れば知るほどボクシングは面白くなるわけですね…

改めまして、中島さま、素晴らしいメールありがとうございました。

あなたの気迫と手数前進…は今なお僕の脳髄で戦い続けてくれています。

そして、それは僕に限らず、多くのボクシングファンの脳髄で、今なお光り輝いております。

そうだ、度々思い出すのは、中島さんの試合のインターバルの様子、トレーナーの方にアドバイスを受ける度、非常にきびきびと「はいっ!! はいっ!!」とお返事なされてました。高校球児のようなさわやかさもあったなぁ…

で、あの止まらないコンビネーション、そして、右ストレート…!!!

ぐぐぐ… 

今度ぜひ、新宿あたりで一杯やらせてください!!

あ、あとこれは同門だった小堀選手がWBA世界ライト級チャンピオンになった時、このブログに中島さんが残してくれたコメントです。

もう最高の日でした。今まで仲間の試合を見て涙した事が2回ありますが1度目が小堀が4回戦時代にko負けした試合。そして2度目が昨日です。ほんとに感動しました。小堀だったら絶対やってくれると信じてましたよ。
小堀、おめでとう!!!


…感動的です。ありがとうございます。

御愛読感謝

つづく