続「ボクシングやったことねぇ奴が、偉そうに語るな!!」 | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

同居の某嬢とSEIYUで半額になった寿司なんぞを買って、部屋に帰ってきた…


で、くだらない話をしながら、その出来合いの寿司がうまいとかそうでもないとか、そんな話をした後で、某嬢の嫌がるボクシングの話をちょっとしてみた…


今夜に限っては、駅まで車で迎えに行ってあげたから、普段は嫌がるボクシングの話題もなんとか聞いてもらえるかもしれない… 


それというのも、同居の某嬢であるが、内容は明かせませんが、まぁ、エンターテイメント作品を手がける女プロデューサーであり、僕なんぞよりも厳しい世界で「物作り」で凌ぎを削る毎日を送っているから、その意見は非常に鋭く、興味深いことが多いのであります… 


もちろん、僕よりも断然稼ぎます(汗)…


某嬢「…は?また、ボクサーがセンスがないって話が聞きたいの?あの、なんていうか、全体的に「ナガブチ」みたいな、そういう雰囲気が前時代的過ぎると思うんだよね… そんなのは若い女性層には受けないって言ったでしょ? 亀田なんて論外、だって本当に若い女の子があれを見て喜ぶと思ってんの…?もうだめ、ボクシング界センスなさ過ぎ…」


※すみません、これはあくまで、某嬢のボクシング観でありますので…


僕「いや、ちょっと違うんだ、あのね、今、議論していることがあって、それは『ボクシングをやったことがない奴が偉そうにボクシングを語るなよ』っていう話で、つまり、プロボクサーや、元プロボクサー、アマチュアボクサーの人なんかの根強い意見があって、完全素人を公言している僕はまぁ、一部の方から批判を受けてるわけですよ…」


某嬢「…はぁ? それよりテレビ観なさいよ、ほらほら…」


CSチャンネルではいつかのネイチャームービーの大傑作「ディープ・ブルー」が流れていて、超深海に棲む美しい生物や、赤ん坊のクジラがシャチの群れに追われて溺れさせられて…みたいな状況。


僕「…で、野球選手やサッカー選手が例えば素人は技術論は意見するな、なんてテレビで発言しようモンならそれは相当な批判を浴びると思うわけだけど、僕の感じで言うと、『ボクシングの世界』って、興行って客商売を前提とした存在であるにも拘らず、そういう排他的なところが、なんていうか、ちょーっと強いかな、って感じるんだよね… もちろん、お客さんが素人だろうがなんだろうが、大いに語るべきってボクサーの人の意見もあるわけだけれど…」


某嬢「…はぁ?」


僕「なに、はぁ?って…」


某嬢「君はちょっとずれてるんじゃない?」


僕「なに、ずれてるって?」


某嬢「いいじゃない、ボクシングやったことない奴がボクシングを偉そうに批評するな…って言わせておけばさ、もう、ボクシングの話なんかしたくないけど…」


とか言いながら、某嬢がロベルト・デュランの古いVTRをDVDに保存し直したりしているのを僕は知っている…


某嬢「あたしが思うに、プロ野球選手もサッカー選手も『プロフェッショナル』として成立しているわけでしょ?」


僕「どういう意味?」


某嬢「…だから、じゃぁ、プロボクシングは『プロフェッショナル』として成立してるって言い切れんの!? 興行的にもファイトマネーにしても、『成立』してるって言い切れるわけ?」


僕「…う」


某嬢「ボクサー達は日本チャンピオンになってもアルバイトしなくちゃいけないわけでしょ?…で、お客さんは少なくて不人気で視聴率もあまり稼げないのが現実… そんな状況にあっても業界内部の一部の人は熱心なファンにそういう目線で蔑む人が多いんだったらさ、それってもう『成立してない』…って結果が出ているってことなんじゃないの?どうでもいいけどさ、あたしにしてみればさ…」


確かに、「成立してない」…と言える部分はある。


あれだけの過酷とリスクを背負ったボクサーたちは満たされることのない暮らしの中であえぎながらも強さを求める…という現象の渦中に存在する。つまり、リスクと報酬の見合わない環境(ただし、これがハングリー精神を養っている部分も否定できないが…)が、日本ボクシングの世界…


「需要と供給」のバランスを欠いているのは間違いない…


興行そのものの赤字もさることながら、さらに、前座選手が地方から中央へ出てきて試合をすると交通費や宿泊費でそぎ落とされ、逆に身銭を切る…というのが現実、命を削りながらお金を払う…という捩れ現象。


観客が身内ばかりのテレビ中継なしのホール興行…は確かに切ないものがある。


某嬢「だったらさ、プロボクシングとして成立させたいんだったら、もーっと『質のいい亀田兄弟』みたいな存在をもっと積極的に作れば…?昔のプロレスみたいになっちゃうかもしれないけれど…」


僕「…そんなのはだめだよ、ボクシングは真剣勝負なんだからさ」


某嬢「…できないじゃん、粟生くんがいくら鳴りものいりでデビューしたってさ、で、わりと正統派として育て上げても結局その認知度は亀田兄弟の足元にもおよばいわけで、長谷川くんなんか世界チャンピオンになっても及ばなくて、内藤くんは人気あるみたいだけど、でも、それってアンチ亀田の象徴となれたからで、それは巡り合わせ的な強運があったからこそだったりして、つまり、不健全なんだよねぇ… なんか全体的に… 特別変異みたいな亀田兄弟なんてボクシング全体像のイメージを劣化させるばかり、でも、なぜかそのファイトマネーが何千万円とか言ってるんでしょ? メチャクチャだと思うけどね、あたしは…」


僕「…ちぇ、横暴な言い方だなぁ」


某嬢「…何言ってんの、甘いんだよ考え方がさ… ファンも関係者もさ… で、最初の話だけれど、経験者が技術論を語るべきであって、素人が語るべきでない…なんて論調があるんなら、それでいいじゃない? だって、『プロフェッショナル』として、成立してないんだから…」


僕「…(あちゃぁ、僕はそこまで厳しく言ってないけれど)」


ファンと業界が健全に共存しえない関係… 


選手達が命を賭けるほどの決意で戦っているのに、その環境がプロフェッショナルとして成立してない現状…


某嬢「…興行の売り上げが僅かで、選手がそれで暮らせないなんて、それを当たり前のように何十年も続けてきた業界な訳でしょ?で、選手達もだからこそ『偉そうに語られたくない』って頑なが気持ちがあって、それもしょうがないんじゃない…?」


テレビのブラウン管の中では、ペンギンたちの群れが-50℃の極寒の世界で身を寄せ合って寒さを堪えている…


某嬢「…そんな議論は不毛ね」


すっかり力が抜けてしまった僕である… 


某嬢「アマチュアボクシングも、プロボクシングも、どっちも中途半端なんじゃないのかなぁ… 他のスポーツよりも排他的だったとして、まぁ、その内実を知っているからこそ譲れないってのもあるかもしれないけれど、ボクシングの『勝ち負け』ってなんか特別だからね…」


僕「プロボクシングって意味で考えたら、エンターテイメントとしての価値と、純然たるスポーツとしての価値と、その『せめぎ合い』が他のプロスポーツよりもグレーって言うか、どっちつかずってこと…?」


某嬢「…まぁ、あのお客さんに理解しづらい『採点方式』もさることながら、選手と選手の相性によっては退屈な凡戦になったりすることもあるし、エンターテイメントとしてはちょっと不確定要素も多いのは確かだよね… だって、リングサイド席15000円とか言ってさ、そんでそれを払って、『15000円分の価値と興奮』を提供するってものすごーく大変なことなんだよ… 消費者やお客さんにそれだけの『大金』を気持ちよく払って貰うことの重みを業界が理解できていないのは確かでしょ、多分… あたしも商品を売っているからそれはわかるわけ、ものすご~く凄いことなんだから、それだけのお金を使ってもらうってことはさ…」


僕「…(次から次へとよくぞ出てくるなぁ)」


某嬢「あはは、みてみて、『シロクマ』だぁ~!! かわいいね、ぎゃはは…」


僕「…(確かにかわいいけど)」


某嬢「あのね、higegeくん、そんなお金にもならないブログばかりやってないで、もっとがんばらんかね、『プロ』なんだからさ…」


僕「…ぐっ」


某嬢「でもさ、higegeくんは本当にボクシング界にしてみたらありがたいお客さんだよね、この現状でも完全否定しないでせっせと足を運んでお金を使い続けているんだからさ… あはは…」


僕「…(ひ、酷い…が、反論できない)」


で、某嬢は眠りについたわけであるが、僕は真夜中に取り残されたまま、今夜は眠れそうにない…


それでもしかし、僕の生観戦道は恐らく続くわけである…


御愛読感謝


つづく