「名城×冨山」ノーテレビを嘆く… | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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名城、初防衛戦TV中継なし…WBA世界Sフライ級 スポーツ報知


…これは非常に残念なニュースでありますねぇ。


世界タイトルマッチ…って言えば、まぁ、僕の子供の頃の話でありますが、テレビの前に家族みんなが集まって冷や汗をかきながら、あるいは、手に汗握って、はたまた、絶叫しながら観戦するのが当たり前…って感じでしたよねぇ…


僕にとって特に印象的だったのは、なんと言っても、浜田剛史さんの1RKO世界王座奪取…


あれは僕が15歳だったころか… 1986年だそうですね、あれは…


あの連続13度の防衛を果たした具志堅用高さんが14度目の防衛に失敗した試合は1981年ってことで、僕はまだ9歳だったのですが、これもぼんやりと覚えていますね…


世界タイトルマッチにおける、あの興奮と喪失感…ってのはやはり特別なんですよねぇ…


さて、WBA世界スーパーフライ級チャンピオンの名城信男選手の初防衛戦がノーテレビってことで、改めて、世界的な不景気とボクシング人気の低迷を肌で感じることとなりましたねぇ…


しかし、これは確かにボクシングファンにとっても微妙な感触の残るマッチメイクであるのは確かなのだ…


あえて申し上げれば、昨年王座決定戦による2度目の王座復帰を果たした名城選手でありますが、これが日本国内屈指の実力者、河野公平選手との戦いであり、この日本人対決自体に否定的な意見も実は多かったのは事実であります…


つまり、日本タイトルマッチの延長上に存在する世界タイトルマッチ…に見えてしまうファンも多かった。


また、このスーパーフライ級に関しては世界的にも他団体統一の動きが顕著で、クリスチャン・ミハレス、アレクサンドル・ムニョス、ビック・ダルチニアン、ホルヘ・アルセ…と言ったビックネームのチャンピオン同士が凌ぎを削りあっていたし、その世界的な潮流から孤立した形で、ある意味、日本人選手は蚊帳の外的な状況をボクシングファンは肌で感じてもいたのであります…


で、今回の初防衛戦が東洋太平洋チャンピオンの冨山浩之介選手と決まったとき、ちょっとボクシングファンは失望したのだ…


本来、王座決定戦直後の初防衛戦は世界ランク1位の指名挑戦者が登場するはずで、それが義務付けられているわけですが、冨山選手がこれに劣っている…という意味ではなくて、「また日本人対決か?」…って見方が現れたのはある意味当然の成り行きでもあり、「世界タイトル」とは名ばかりで、実質「日本王座」なんじゃないか…なんて揶揄されても致し方ない部分は僕も実は感じているのだ…


しかし、先にも挙げた不景気の煽りがここにも見え隠れしているのかもしれません…


外国人招聘には経費がかさむし、さらに、結果としてテレビ中継が決まっていなかった時点で、興行的側面も含め、この対戦は必然的であったのかもしれません(僕は素人だからその内実はよく解りませんが)…


最近は世界チャンピオンがノーギャラに近い状態でリングに上がる…なんて非常に嘆かわしい現実が記事に挙がることが珍しくない時代であります…


で、話は戻りますが、つまり、ボクシングファンであっても、ちょっと違和感を抱いてしまうマッチメイクであるとするならば、スポンサーの腰が引けても仕方がない部分は否めない…


出資するということは、それに対する見返りがあって当然であるし、それが見込めないと判断されてしまったのであれば、もうどうしようもない…


『プロボクシング世界タイトルマッチ』…という冠が存在していれば、黙っていてもお金が集まって、さらに、勝手に話題が広がってゆく…という時代は具志堅さんや浜田さんの頃の話であります…


辰吉選手、鬼塚選手、畑山選手…と、特別に国民的関心を惹きつけるボクサーは存在していましたが、これはそのボクサー個人が人々の胸を打つスタイルと個性を発揮していた…という側面も大きいような気がします。


さて、この「名城×冨山」がノーテレビっていう現実が如実に示すもの…とは、漠然としたボクシング人気の低迷とは別に特に感じることがある。


それは大きな意味で世界的潮流から孤立した日本ボクシングの現状…が存在し、その権威が特に失墜しているのは確かである、と、改めて今回のニュースを聞いて感じる。


世界チャンピオンってのは総理大臣ほど凄いんだ…!!!


って僕は子供の頃に感じていたが、皮肉なことに、この総理大臣なる存在の権威失墜同様、残念ながら世界チャンピオンって存在の権威も失われているのは間違いない…


昔は世界チャンピオンになったら『圧倒的特別』になれたわけでありますが、今は、世界チャンピオンになることがスタートラインで、そこから地道にその権威をコツコツコツコツと高めてゆくしかない…っていう印象が強い。


新井田選手や長谷川選手を想う…


どうだろう…?


彼らは防衛回数を重ねながら、着実にその実績と権威を高め続けたわけでありますが、全国民的な存在には辿り着けなかったり、あるいは、まだ、その途中である…という現実も少し胸が痛い。


連続8度の防衛を連続KOで達成中の長谷川選手にいたっては、もはやWBCバンタムには敵がいないんじゃないか?…ってマニアが感じるほどの実績を挙げていますが、しかし、具志堅さんのように、誰でも知っている世界チャンピオンにはまだ届いていないのが現実であります…


本当に厳しい時代であります…


「名城×冨山」…に世界タイトルマッチとしてのプレミアム感が足りないのは事実でありますが、しかし、関西限定であっても、なんとかテレビ中継実現の可能性がなかったのか?って、改めて感じますねぇ…


関係者の方々も一生懸命がんばられたのだと思いますが、しかし、この結果は現状の「ボクシング不人気」を改めて世間に晒してしまったようで、とにかく悲しい…と思います。


「世界チャンピオン」…って言葉、その存在自体がなんだか軽くなってゆくような昨今…


ボクシングファンからでさえ注目を集められないのに、そのくせ世間の注目を集めようだなんて虫が良すぎる…なんて厳しい見方も出来ますが、景気やその他多くの悪条件が重なった結果だとは思いますが、これは悲しすぎる顛末であります…


ボクシング業界はこの切迫した現実をどのように受け止めているのでしょうか?


選手達は命懸けで戦っているのだ…


その一生懸命に報いたくて、僕はなるべく後楽園ホールに足を運んでいますが、僕個人に出来ることはこんな風にボクシングの話題を拙いブログで提供することでこれが限界…


本当に悩ましい…


本当に胸が痛い…


CS放送の「skyA」で中継録画してくれるようですが、ゴールデンタイムの全国中継で、一家揃って世界タイトルマッチに絶叫するような懐かしい時代の再来はもうあり得ないような気がしますね…


亀田一家のような「特別変種」も存在しましたが、しかし、これはあまりにも特異で、作られた感丸出しの「異形」でありましたし、これはボクシングの本道から外れた形態でありましたので、正当な評価を与えることは出来ません…


このボクシング不人気問題は、本当に根が深い…と感じざるを得ません…


本当に悩ましい…


御愛読感謝


つづく