これ、先月廃刊になってしまったボクシングワールド誌の表紙の右端で、まるで、マッチ棒のように倒れて意識を失ってしまったイギリスの英雄、前IBO世界スーパーライト級チャンピオン、リッキー・ハットン…
この猛者を圧倒的なカウンターで失神させたのは歴史にその名を刻む、アジアの至宝、フィリピンの、いや、世界の英雄、マニー・パッキャオだ…
世界中の注目を集めるパッキャオの大成功とこれからにはさらに注目が集まることは必死だ…
次はあの生きる無敗伝説、5階級制覇のフロイド・メイウェザーと対決か…!? なんて話もあり(もっともその前哨戦ともいうべきマルケス戦は延期になったとの報がありますが…)、ますます盛り上がりは高まる…
さて、その一方で、世界的には大きな注目を集めているボクシングの世界であるが、しかし、日本国内では最近は不人気が慢性化、非常にマニアックな存在となって久しいのは皆さんもご存知のとおり…
で、今日は同居の某嬢とこんな会話になったのだ…
そのきっかけはあるテレビ番組…
CSの「MONDO21」という異色チャンネルの番組表を見ていたわけですが、このチャンネルはマージャン番組やパチンコ番組、さらに、ゲーム番組、と、ちょっと異色な番組構成が売りなのですが、このチャンネルに「鉄道マニア」に向けた番組があり、僕はこれを見て、ははぁ…と感じたのである。
僕「…しかし、鉄道マニアだけのための番組があるなんて驚いちゃうよね、どれくらい需要があるんだろう?」
某嬢「わかってないね、鉄道ファン…っていうか『鉄ちゃん』はたくさんいるんだから…」
僕「…『鉄ちゃん』!?」
鉄道マニアのことを、『鉄ちゃん』と呼ぶそうだがみなさんはご存知であっただろうか…? ちょっとイイ呼び名だなぁ…と感じました(笑)
某嬢「…釣りファンには劣るけれど、演劇ファンには引けをとらないと思うよ」
僕「…!?」
『釣りファン』より少ないだろうけど、『演劇ファン』には引けをとらない…って、なんだか解らないが、かなりの多数…ってことか!?
これ、なんか、なんか嫌な予感がしてきた…
思い切って、本当は嫌なんだけれど、やっぱり、思い切って、僕は某嬢に質問してみたのだ…
僕「…『ボクシングファン』と『鉄ちゃん』はどうなの?」
某嬢「…『鉄っちゃん』の勝ちね、楽勝で」
僕「…嘘だ!!」
某嬢「…『鉄ちゃん』は侮れないのよ… 『鉄っちゃん』は模型や写真、切符や駅弁、その裾の広がり方はかなり楽しいし、お金も落ちる… 贅沢な趣味の世界とも言える… 旅にも通じているわけだし… でも、『ボクシング』はそういう広がりが足りないし、大きな視点で比べたら、敗北は必死だと思うけれど…」
僕「…ぐっ!!」
そういえば、ボクシングに絡む「グッズ」って、ほとんど皆無だよなぁ…
長谷川穂積「下敷き」とか、名城信男「弁当箱」とか、内藤大助「学習ノート」とか、西岡利晃「運動靴」とか、まぁ、どう考えても流通するはずない…
しかし、白井義男さんの頃や、ファイティング原田さんや、海老原博幸さんの頃もそうだったのかな…?
ボクシングはやはり「非日常」の極みであるから、何気ない日常的浸透とは確かに無縁で然るべきだけれど、しかし、いまや、日常と遠すぎる気もしないでもない…
無名の世界チャンピオンたち… 失われてゆくベルトの権威…
っていうか、随分と大衆の関心の外へ追いやられてしまった…
確かに、『鉄っちゃん』の方が多いかもしれないし、馴染みやすくて健全って気もしてくる…
聖地後楽園ホールで専門的な一眼レフでボクサーたちにカメラを向けている人々の数と、全国各地で電車や鉄道にカメラを向けている人たちの数は比べるまでもないか…?
え!?
確かに、絶対数が違うかもしれない…
むむむ…
「ボクシングファン」より、「鉄っちゃん」の優勢勝ち…
実際、このような比較に意味があるとも思えないが、しかし、その需要とニーズに関しては、同じレベルで語られる存在…っていうか、もしかしたら、「ボクシング番組」よりも、「鉄っちゃん専門番組」の方が求められているのかもしれない…
すみません、鉄道ファンの方を馬鹿にしているわけではありません…
僕自信、間違いなく「オタク」と呼ばれるべき種類の人間である事は自覚しております…
しかし、思いもよらず、恐怖の現実の一端に触れてしまったような気もする…
歴史あるダイナミックグローブでさえ、そのテレビ中継規模は縮小されてしまっているし、テレビ中継のない世界戦ってのも珍しくなくなってきているし…
むむむ…
あらためて、その問題の根は深い…と実感した小さな会話であった。
そして、僕は一番上の写真、まるでマッチ棒のように倒れてしまったハットンのように、「硬直」してしまったのだ…
御愛読感謝
つづく