続・あるボクサーの友人からのメール… | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

先日頂いた「あるボクサーの友人」からいただいたメールをご紹介した記事の続編を書きたいと思います…


このメールにはある「悩み」が秘められており、もし、多くの方にこれについてご意見アドバイスをいただければ嬉しい…という内容のものでした。


では、もう一度振り返り、そして、この「悩み」について寄せていただいた幾つかのご意見・アドバイスをご紹介させていただきます…


先ずは過去記事<07年6月12日付>をもう一度…


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あるボクシングファンの方からメールをいただきました…


その詳細の全てを明かすことは出来ないのですが、もし、多くの方の意見が聞けるのであれば取り上げてもらえないでしょうか…?と書き添えてありましたので、ここでその内容の一部をご紹介させていただきます。


以下は、その要約…


---- 私の友人はある地方ジム所属のプロボクサーです。先日、彼は試合に臨み、きっちり勝利を収めたのですが、ただ、その対戦相手は俗に「噛ませ犬」と呼ばれるような外国人選手であり、その試合の内容も明らかに戦意に欠けた外国人ボクサーの無気力が素人目にもはっきり解るものでありました。そして、試合の後にKO勝利を果たした彼と電話で話したのですが、「つまらない試合をしてごめん」と謝られました。彼は、私がこのようなマッチメークの連続に対して失望と危機感を感じていることを肌で感じていたからこそ謝罪してきたのだと感じました。そして、私は実際、そのような失望と危機感を感じてもいるのです。


ボクサー・選手は所属するジム陣営の「方針」「育成方法」を信じ、それに身を委ね、ただ目の前の一戦一戦を勝利してゆくことだけを考えられるような「信頼関係」を築けることが『理想』なのだと思いますが、しかし、私はとても大きな危機感を感じています。このままでは彼は選手として「死んで」しまいます。このままではチャンピオンにはなれません。私は彼にチャンピオンになって欲しいから、本当の「強豪」との対戦を通じて本当の「経験」をその身体と心に刻み込んで欲しいのです。


彼自身も悩んでいます。だからこそ、ただの友人である私に謝罪をしてきたのだと思います。


その詳細は明かせませんが、彼はタイトルマッチを射程圏内に捕らえる位置までやって来ましたが、本当の意味での「ボクシングの恐ろしさ」をまだ知らないのかもしれません。仮に危険な前哨戦をしてそれに敗れてタイトルマッチが遠のいても、私は彼がそれを「体験しておくべき」だと信じている立場です。いずれにせよ、それを知らないままでは、絶対にチャンピオンを破って勝利することなど出来るはずがないからです。


私も友人として、一人のファンとして悩んでいますが、でも、それ以上に彼自身が一番悶えていることは間違いありません。


「強い相手と戦わせてくれ」と彼自身が所属ジム会長に働きかけるしかないような気もしますが、彼がそのようなアクションを起こす勇気がないのか、それとも、そのような希望を出したのにそれが受け入れられないのか?その辺りは私にもわかりません。


ただ、そこで変な軋轢や確執が生じることを彼が恐れる気持ちも理解できますし、彼は自分を大切に育てようとしてくれている陣営に恐らくは感謝もしているはずです。


「過保護」なのか、「丁寧育成」なのか…?


私には「過保護」に見えるし、彼自身も「腑に落ちない」ようでもあります。


こちらのような場所にみなさまのご意見を求めるのはいかがなものか、とも感じたのですが、思い切ってメールさせていただきました。


どのようなご意見でもかまいませんので、よろしければ参考にさせていただければと思います。よろしくお願いします。


…と、このような内容のメールをいただきました。


難しいですねぇ…


自陣の「方針」に選手は添い遂げるべきか?


これ、僕が思うに問題の核心にあるものはやはり「信頼関係」であると思います。


ボクサーとジム陣営のそれが、はたして健康的に機能しているかどうか?


そして、ボクサー自身が目指している場所と、ジム陣営が彼を導こうとしている場所が果たして「同じ場所」なのかどうか…?


その「道筋」「航海予定図」は彼とジム陣営とでどれだけの「誤差」があるのか…?

なんというか、僕にはそこまでしか書けませんが、会話を通じ、この部分だけはしっかり「意思疎通」しなくちゃその「居心地」は双方にとって悪くなってゆくだろうし、下手をしたら大切な「チャンス」も逸してしまうかも知れませんねぇ…


ここはひとつ、彼により明確な未来のビジョンを確かめるための「会話」を勧めるべきでは?と感じました。


ジム陣営も彼を「飼い殺し」(言い方は悪いですが)にするつもりはないでしょう…


大切な「宝」であるに決まっている。そこだけは信じたいし、きっとそうだと思います。


しかし、綺麗事だけでは前に進めない命懸けの世界が「ボクシングの世界」でもあると思いますので、この「貴重な青春」をどのように燃焼させるか…という意味で、彼が後に後悔しないためには、彼自身が「未来の自分の理想像」をより明確にした上で、ちゃんとジム陣営と「語り合う」しかないような気がします。


お役に立ったわかりませんが、僕ならば、そのように「彼」にお話しするでしょう…


また、これを読んでいただき、何か感じることやご意見があれば、是非、書き込んでいただければ、と思います。


よろしくお願い申し上げます。


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そして、この記事に寄せていただいた方々のコメント…


■素人が言うのもなんですが。


話し方が変わるだけで、higegeさんの意見とほぼ同じですが。汗ボクサーとは、その短期間の(ボクサー)寿命のなかで、どれだけの華々しい成績を残せるかだと思うんです。そこには、偽り(弱い者)も真実(強い者)も発生するのだと思います。華々しい成績は、タイトルを掴むのに必要不可欠なものだと思いますし、それを気づくためには偽りも必要だと思います。しかし偽りばかりを続けても、どこかの誰かのように、必ず襤褸が出てくる。

それならどうするか、そこで負け覚悟の真剣勝負が発生しますよね。この彼の場合は、そのタイミングを計っている段階ではないでしょうか。ならば、ジムと本人でそのタイミングがいつなのかをきっちり話し合えばいいわけです。

自分がカマセ側に周ったときの事を思えば、自分にカマセを与えられているのはある意味自分にとってプラスと考えるべきではないでしょうか。とにかく信頼関係を築くには、面と向かってきちんと話すことが大事だと思います。そして彼の今の気持ちをジム側に伝えることで、さらに信頼関係が増していくのではないでしょうか。

もし、そこに信頼関係が築けなかった場合、解決方法としては、ジム移籍も考慮した方がいいでしょう。ジムは日本にたった一つではありませんから、自分が納得のいかないジムでタラタラのボクシングを続けるより、自分もジムもお互いに納得して、短いボクサー人生を華々しいものにして欲しいなぁと思います。

ボクサーの寿命は、長い人で20年、短い人で数年。たったそれだけですから。  BOZZE


■厳しい意見として


有力なホープを抱えるも先に進めないようなマッチメークしか出来ないことに日本ボクシング界の人気衰退の大きな要因になってると思います。ジム主宰の興業では限界があります。ジム単位の興業では有能な選手に試合枯れさせないように東南アジアの選手と試合させるケースが多々ありますが、それは調整試合としては良いのですが、その次が分からないという選手が多いと思います。次も同じような相手ではモチベーションが下がって当然です。これで喜ぶのは某一家だけでしょう。

そろそろジム同士で有望な選手の潰し合いともいえるような試合を頻繁に組むべきだと思います。この中で生き残った選手は当然強い選手なわけですし、自分のジムでそのような選手が一人生まれれば状況が変わるという発想が出来ないものかと思います。勿論全滅するかもしれませんが、弱い相手に勝利をし続け戦績は立派でも世界戦では惨敗なんてケースは少なくなると思いますね。逆に多く負けてもサバイバルで生き残った選手が世界を獲れると思います。近年の日本ボクシング界は負けることを恐れてリスクを負わない方針が当たり前のようになってる気がします。これは過保護というよりも見栄えは良くしたい発想の方が強いと思いますね。10敗委譲したって世界を獲った選手がいるということを理解して欲しいです。負ければスポンサーが離れるという話ではなく、最終的に世界を獲ればどうなるかという視点を持って欲しいです。経済的な理由で出来ないというのであれば今までのように目先の事を考えてやってくださいという話です。

しかしヒゲゲさんにメールを送った選手のように、こんな方針では本当に強くなれるのかと気づいたならば、その選手は知りませんが至極まともな考えを持ってると思います。反骨心を失わずに頑張って欲しいですね。ジェームス


■意見


ただの一意見という前置きでお読み下さい。相談者の友人の彼ですが恐らくボクシングをしろと言われてやっているのではないですよね。好きだからやってる。金が欲しい。有名になりたい。という理由からボクシングはあまりにハイリスクな競技に思えますし、ボクシングの魅力を感じてボクシングを始めたはずだと思います。


彼が感じているもどかしさや相談者の方が感じているものはその魅力とのギャップではないでしょうか。相談内容からは脱線しましたがジム方針で行くか、強者との対戦を望むかという事ですが友人の彼の選択を尊重してほしい。


無言によりジム方針で行くとしても良し。有言にして強者との対戦を望むも良し。それは選手のビジョンではないでしょうか。素晴らしい試合がしたいのか。チャンピオンになりたいのか。負けたくないのか。勝ちたいのか。


相談者の方は友人であるボクサーにより高みを目指してほしい、このマッチメイクの所為でそれが阻害されているとお思いのようですのでそういう考えを彼に伝えて選択は彼の選択を尊重してほしいと思います。

他の競技に比べて一敗の重みが違う競技ですので。 政八甚右衛門


■無題


フライ級の久高寛之をコアなボクシングファンの皆さんが認めたのは、皮肉にも勝ち越した戦績ではなく、タイ・フィリピンでの強豪との敗戦がキャリアに含まれていたからであったと記憶しています。(無論その後のフセイン・フセインへの勝利があってこそですが)この選手はこんなハードなマッチメイクをこなしているんだと・・。このことが何を意味するのか、連勝記録というものが現在どのように評価されているのか、業界関係者はもう一度考え直して欲しいものですね。 伊賀忍者


■無題


私が所属してたタイのジムでじかに見た話ですが 世界C やランカークラスの話ですがまず2-3年は同等と試合をやり WBOやPABAを取ると 調整試合をやり 期が塾すると世界をやるという感じです 普段は強いやつともスパーはしますが そちらで調整し 課題を試合でためし 徐々にうまくなるように育てていくので何も急ぐこともないとは思います 日本でランカーになり2年も負けないでいると指名試合まで待てばいいと思うし 強いやつとスパーをしたければ タイにきてやればいい まあ140Pまでですが 基本的にタイではスパーは時期があえばできますし 英語はだれかは通用しますそれより 今練習に打ち込んで 日本チャンプ目指すべきだと思います。 KOREAN TAROU


■無題


これはもう、腹を割って話し合いうしかないと思います。まだ真の強豪との試合は時期尚早であるという考えなら、これからどんなステップを踏んでレベルアップするか、という話になるでしょうし、「しかるべき相手に逃げられてる」というような状況なら、とりあえずランキングを維持しつつ最強後楽園を目指す…などなど。とにかく、お互いの信頼関係を構築(または確認)することが一番でしょう。


ボクサー関連の書籍を読むと、名選手にはほぼ例外なく名参謀となるトレーナーや会長がついています。結果的に「トレーナーの言うことを黙ってやってれば間違いない」「あとはリングでアイツに好きなようにやらせるだけ」みたいな信頼関係を築けたコンビでも、そこに至るまでは、悪態ついて練習バックレたり、そのことでブン殴られるほど怒られたりしてるケースが多いですよね。


何より「これで強くなれんのかなぁ?」という心理状態では、ロードワークひとつにしても、それが「実になる」度合が違うと思いますので、充実した練習をする為にもスッキリする必要があると思います。

ただ…「お前はウチの看板なんだから、とりあえず決まった試合でテキトーに勝ってればいい」なんて考えだったら悲劇ですね。今の「鎖国的ボクシング村」では、一選手の移籍の希望が簡単に聞き入れられるとは思えません(ジムがその選手を抱え込みたがってる場合は特に)。長谷川穂積や本望信人クラスでさえ引退を覚悟したくらいですからね。


こうなるとボクシング界全体の問題ということになりますが、業界トップの方々には「主役は選手と、その激闘を楽しむファンである」という認識を持って運営してください、としか言えませんね。 ウチの猫の名は穂積


■無題


選手とジムの力関係に差がありすぎるので会話なんて無理でしょう。奴隷と主人の関係に近いものがある。長谷川は運良く移籍できましたが、ヘビー級のホープ(名前失念)は潰されてしまいましたよね。 7743


■無題


日本のジム特有な贅沢な悩みですね。誰であろうとガンガン行くしかない。 ?


■無題


日本ジム特有?いえいえタイもまったく同じですよ。

ABCOやPABAチャンピオンになってランキングに顔をだしたこともないインドネシア人やフィリピン人相手に何度も防衛しているうちにWBAやWBC上位になったけど、世界の上位ランカーとの試合経験はなく、プロモーターも怖くて世界戦には臨ませられない。

英字サイトでパノムルンレックがこの例としてあげられてましたけど、このままじゃ彼も亀1同様永遠の「ランキング1位」になりかねない。
(彼の試合を見ましたが、世界戦レベルとは言いがたかったですしね、実際…)

今のABCOやPABAチャンピオンは「世界へ進めない選手の溜まり場」になりつつあります。
これは過保護路線の悪影響です。そしてタイも(タイの場合ジムではなくプロモーターレベルですが)選手はマッチメイクに口をだせないし、プロモーター間の交流戦もない…

タイもジェームスさんの言うように異なるプロモーター間の選手でガチンコの戦いをやって「真のタイ王者」を決め手から世界に望ませれば随分違うんでしょうけどねえ… バンコク愚連隊


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…と、たくさんの有益なるご意見を寄せていただきました。本当にありがとうございました。


やはり、「ボクサー本人のビジョン(目的・理想)」を明確にすることと、そのビジョンに対して、それに近づくためにいかにジム陣営とコンセンサスを取るか、ということがもっとも必要な気がしますね…


さらに言うならば、「ボクサーはリングで戦うことだけがその職業に非ず」ということではないでしょうか?


つまりは、「表現者」として、その自らの『ボクサー人生』を演出し、体現しなければならない。


その「理想像」の追求こそがボクサーの本質的な意味での『目的』ではないのか?


そして、我々ボクシングファンは、その彼の『理想像の追求過程』とその『一旦の完成』に対して対価としてのチケットを購入している…ということではないのか?


「口や言葉で自分を表現するのが苦手だから俺はボクシングをやっているんだ」


…確かに、そういうボクサーの方もいらっしゃるだろう。


が、しかし、ランカーともなればただ「タイトルマッチをやらせろ!!!」ってだけでは当然いけない。


自らのボクサーとしての『理想像』を見極め、その輪郭を研ぎ澄まし、それに必要な練習と対戦相手をジム陣営にきっちり伝え、さらに、『実現』に漕ぎ着けるのもまた、これは「プロボクサーの仕事」の一環だという気もしてきます…


選手自身による、そのような積極性や試みがなければ、やはり、「チャンピオン」にはなれないのではないだろうか?


そんな印象が僕は残りました。


最後に、たくさんのご意見本当にありがとうございました。


ここに寄せていただいたご意見アドバイスは、必ずや「彼」の元に届くことでしょう…


そんな「彼」の活躍を祈っております。


御愛読感謝


つづく