井岡一翔の「世界」と、高山勝成の「世界」…について | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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井岡のおい・一翔、プロ2戦目で日本ランク入り確実 スポーツ報知


プロ3戦目で日本ランカーを痛烈に2RTKOで屠ったという、元世界2階級制覇チャンピオンである井岡さんの甥っ子、井岡一翔選手の記事…


>陣営は秋にも世界ランカーと対戦させる方針。日本王座を飛び越え、国内最速の世界王座奪取記録(8戦目)更新を狙う。


記事には、上のような大胆なことも書いてあります…


しかし、この敗れてしまったという日本ミニマム級7位の松本博志選手、本当に残念でありました…


心の中ではかなり応援していたのですが…


さて、しかし、プロ3戦目で大阪体育会館第一なんていう大きな会場で、それも観客を8000名も集めてしまうなんて、まさに、「超新星」の登場には間違いない…


が、日本王座を飛び越えて「世界」…という表現に違和感を覚えるのは僕だけではあるまい…


話題性も確かに大切だけれど、選手の将来を考えると、ちょっと疑問符をつけたくなる…


が、それに関しては本人も了承済みで、ジム陣営と支援者の方々がそれを目指すならばそれはそれで良い…


これ、井岡選手はまずは「ミニマム級」での挑戦を考えている…ということでしょうか?


ちょうど先週の土曜日、先日行われたWBA世界ミニマム級タイトルマッチ、「ローマン・ゴンザレス×高山勝成」がCSで放送されて、その熾烈なるフルラウンドを僕は観戦したのですが、まぁ、とにかくあのチャンピオンは破格の強さである…と再認識した次第であります…


挑戦者の高山選手は元WBCミニマム級、元WBA暫定ミニマム級チャンピオンであり、その実績と実力は日本最高峰に間違いないが、しかし、こういう言い方は不適切かもしれないが、ほぼあの褐色のチャンピオンには「歯が立たなかった」…


僕が見る限り、高山選手の体調と仕上がりは万全、気迫の充実も最高潮に達していて、その持ち前のスピード感と出入りのボクシングは完璧に見えた…


その旺盛なる手数は「怪物」と称されるゴンザレスに度々命中、互角気味に試合は推移してゆくかに見えたが、徐々に、ダメージを負わされてしまったのは高山選手であった…


「小さなチョコレート」なんていうかわいらしい愛称を持つチャンピオンだが、その左腕から繰り出される強烈な伸びるフックが高山選手の顔面を打ち抜く度、僕は思わずテレビ画面から顔を背けてしまうほどだった…


ガツーン… ガツーン…!!!


そのゴンザレスの強烈パンチでありますが、これ、まるで大きな岩石で殴りつけてくるような印象が残りました…


高山選手の瞼は「小さなチョコレート」の右パンチに切り裂かれ、その傷は深く、まさに、文字通り「血みどろの戦い」となってしまった…


その最終盤にはやや意識の薄れた高山選手がクリンチでかろうじて凌ぎ、また、ゴングに救われたような場面もあった…


高山選手の調整と気迫は万全に見えた…


度々その戦いを僕は見ているが、今回の高山選手の出来ならば、いつか辛酸を舐めさせられたあのイーグルをも倒せたのではないか?というほどの充実を漲らせていた…


ゴンザレス、あれはやはり強い…


減量苦を指摘されるゴンザレスでありますが、スタミナ手数も危惧されたほど減退することもなく、最後まで岩石パンチを振るい続けた…


あの出来の高山選手で歯が立たないならば、他の日本人選手でこれに太刀打ちできるボクサーは正直思い浮かばなかった…


現東洋太平洋チャンピオンは黒木選手で、現日本チャンピオンは八重樫選手…


どちらも目を見張る強さがあるが、しかし、あの豪快にして的確なゴンザレスの岩石パンチを浴びながら長い長い12Rを戦い抜くのは非常に難しいのではないか…?と思わず唸ってしまった…


そして、この高山選手の完敗の果てに残ったものですが、彼の「勇気」と「想い」の清清しさでありました…


あの危険極まりないゴンザレスのパンチに度々合わせて狙い打ったカウンターでありますが、本当に「狂気の沙汰」とでも言いたくなるほどのギリギリの選択でありました…


が、この高山選手の骨身を削ったカウンターパンチに、ゴンザレスは怯むどころか、それ以上の豪快さで反撃し続けた…


こうなると「打つ手なし」…


が、しかし、高山選手は諦めなかった…


確かに、高山選手はどちらかといえば非力なボクサーかもしれない…


が、あれほどの「命懸けのカウンターパンチ」を放ち続けたわけですが、少なくともあの夜の高山選手には黒木選手も八重樫選手も跳ね返されてしまうだろう…と僕は感じた(もちろん、戦ってみなければわかりませんが…)。


内容としては完敗…でありましたが、しかし、僕は高山選手の仕上げた今回の世界戦仕様のボクシングと、その闘志の充実に大きな感動を与えられたのであります…


で、話を戻しますと、この井岡選手はライトフライで行くのか、ミニマムで行くのかわかりませんが、苦労人にして幾度かの大きな挫折を知ったる高山選手でさえ、その自らのボクシングを極めるのにこれだけの「道程」を経てきたのだ…という視点から考えると、やはり、「最短世界王座記録」と軽はずみ(?)に聞こえてくると、なんだか違和感が残るのだ…


が、当然、苦節や挫折など関係なく勝ち続けるスーパースターも確かに存在する…


ただ、僕は練りに練り上げられた強さ、鋼鉄の如く叩きに叩き上げられた強さに惹かれるからそのように違和感を感じるのだとは思う…


僕はまだ井岡選手の強さを体感していないからなんとも言えないのが本当のところですが、しかし、やはり、「世界戦」という舞台で目の当たりにしたいもの、それは「苦節の果てに磨き上げられた屈強」であって欲しい…と感じてしまうのだ。


ここにこそ、「底力」なる未知なる屈強が眠っている、と信じている…


さて、しかし、このような僕の発想は古臭くて前時代的であるとも思いますので、願わくば、その「天才性」を是非とも大胆に発揮していただきたいですね…


そして、あの「小さなチョコレート」、ニカラグアの怪物チャンピオン、ゴンザレスを打ち破ったらもう完全に脱帽でありますが…


WBCミニマム級正規チャンピオンはタイのオーレイドン、暫定チャンピオンはニカラグアのパラシオス、WBAライトフライ級チャンピオンはメキシコのセグラ、WBCライトフライ級チャンピオンはメキシコのソーサ…


WBAライトフライ級チャンピオンのアスロウムは「休暇C」…ってよく意味がわかりませんが、まぁ、これらのチャンピオンたちの中で誰に照準を合わせるのかわかりませんが、狙い目はWBCミニマム級じゃないでしょうかねぇ…?


それでも、「底力」を身に付けないと厳しいとは思うのですが…


そして、ミニマム級の黒木選手に八重樫選手、ライトフライ級日本チャンピオンの嘉陽選手にも是非発奮していただきたい…


ライトフライ級は東洋太平洋チャンピオンの和田峯選手と暫定チャンピオンの家住選手が激突するはずですが、こちらもさらに実績を積み上げていただきたいです…


「超新星」の出現でこれからがさらに楽しみな軽量級…


これからも要注目です…


さて、最後に、僕はそれでも高山勝成選手の「闘魂」が今のところ一番世界に近い…って感じてます。


こう言ってはご本人は不満だろうけれど、それでも、本当に素晴らしい「完敗」でありました…


御愛読感謝


つづく