昨日の「最強後楽園 決勝」ですが、8回戦全6試合のうち、1試合を除いて全て「スプリットデシジョン(2-1)」による決着となったわけですが、本当に採点の難しさと奇妙を感じました…
昨晩は試合内容をブログに気合でアップして撃沈してしまったのですが、本当はこれに触れたかった…
これはWOWOWエキサイトマッチでもおなじみの「ボクシング採点基準」というもので、その詳細を簡単にまとめると以下のとおり…
1 有効なクリーンヒット
2 アグレッシブ(有効な攻勢)
3 リングジェネラルシップ(主導権支配)
4 ディフェンス(防御)
1からそれぞれ重きを置きながら優劣をつけてゆくのが基本とされています。
世界戦基準と日本基準の違いは「10-10」のイーブン(互角)を反映させるかどうかで、日本基準の方が積極性が高い…という部分でしょうか?
詳しく知りたい方は上の「世界戦採点基準 BOXING-JP」をぜひ御一読ください…
で、昨晩の「最強後楽園 決勝戦」を振り返る… 以下の赤文字はそのリンク…
生観戦!! 最強後楽園、決勝!!!
…で、昨晩の結果を受けて、改めて「観客」と「ジャッジ」の距離感に唸ったわけですね。
もっとも、僕には特段不満はないのですが、しかし、「違和感」は残った…
朝、目がさめてからそのことばかり考えていた。
もう半年も患っている右肩が痛んでシャツに腕を通すのも嫌になる状況で、それでいつもの整骨院で出かけたのですが、そこで針を打ち込んでもらって、熱い熱いお灸にたくさん火を付けてもらったのであるが、額に汗をかきながら、なんだってあんなに「違う」のか…?と、悶えていたわけであります…
僕は南側の外れで観戦してましたが、ちなみに僕の視力は残念ながら「0.1」である。
で、これを補正するために眼鏡を使用しますが(車の運転、試合観戦、映画鑑賞以外邪魔だからつけない)、これを使用して「1.0」である…
あまり「目がいい」とは言えない状況…
さて、何が言いたいのかというと、「個人差」が確実に存在しているということの最も顕著な例だ…ということです。
そして、僕の「採点」が絶対ではない…とは皆様よくご存知であると思うのですが、僕も正直「これでいいのか?」と思いながらも、しかし、「その場で、その瞬間に決断する」…ということの面白さの中毒になっているからしょうがない…
僕は好きで観戦記を書いているわけですが、もちろん、これはあくまで「素人目線」の域を脱することはできないわけですが、でも、ボクシングの面白さをより肌身で感じるにはなんと言っても「採点眼」を駆使するのが必要だと考えているからである…
これは「集中力」というものをいかに研ぎ澄まし続けるか…?という特殊な状況が生まれるからで、「見逃せないから食い入るように見られる」のである…
特に、昨日のようなテレビ中継のない注目興行は手元に残った僅かなメモだけが「信じられるもの」になってしまうのである…
そして、最も重要だと思うのが、その3分間という独立したラウンドの中で優劣をつける以上、自分にとっての「根拠」を明確にすることだと思います。
なんとなく赤コーナーの選手が優勢かな…じゃなくて、そう言い切れるだけの「理由」と「根拠」が提示できなければ、僕はブログなんかにアップできないし、しちゃいけない…って思っていますし、それが「選手の頑張り」を見つめる…ってことなんじゃないかな? なんて考えているわけです。
でも、多くの方と採点結果が逆になったりするとちょっと凹みますが、でも、その瞬間にそれを見つめていて、「僕はこう見えた」…と言い切れるならばそれで良いかな…と思います。
でも、これが「絶対」だなんてことはもちろんないですが…
で、改めて昨日を想う…
僕の採点で公式の採点と結果としてずれてしまったのは、「バンタム級決勝 臼井×三枝」であった…
結果は2-1で臼井選手の勝ち…でありましたが、僕には三枝選手の勝ちに見えちゃったのであります。
もっとも、言い訳のように聞こえるかもしれませんが、三枝応援団の近くにいたこともありますが、しかし、僕は臼井選手を応援していたにもかかわらず、三枝勝利に見えた…
あちこちネット徘徊すると、このバンタム級決勝に関しては、まだ生観戦組は「妥当」の部類に入るそうなのであるが、僕にしてみれば「これが一番不可解」であった…
手数と命中率で上回ったのは三枝選手で、タイプ的にもボクサー型より、フットワーク駆使、離れて中間距離から隙を狙ってワンツー…が本線であったのですが、三枝選手、頭を付けての接近戦でも手数とアグレッシブを発揮…
それに対して中間距離よりもやや接近したエリアが得意と思われる臼井選手ですが、その武器は物凄い角度で突き上げられる左ボディーフックに硬そうなショートパンチ連打… 左の刺し合いはやや全体的には劣勢に見えたが、距離が潰れた場面でのアッパーカットにショート連打は三枝選手よりも「見た目的」にもやはり強烈…
さて、ここに浮かぶは「クリーンヒット数」と「ダメージの深度」を秤にかけて、どっちをとるかである。
基本的にはダメージをより与えたものが優位に立つはずなのですが、この「ダメージの深度」そのものに関しては、ぶっちゃけ、本人にしかわからないものだし、いや、本人だってわからないものでしょうね、夢中ですし、アドレナリン爆発中ですから…
また、パンチの「もらい上手な選手」っていますよね… ポーカーフェイスで、ぜんぜん平然としていて… でも、その冷たい顔の奥で「やばい!!」って感じているのかもしれないですが…
臼井選手が真っ赤な血を吐き出したのを僕は見たわけですが、一瞬、これ、「顎が割れてるんじゃないか?」って思ったほどの血の塊を吐き出した記憶が僕にはあって、こりゃぁ、「ダメージ深いだろう…」と、僕は感じたのは確かである…
さて、しかし、僕の視力は眼鏡を使用しても、残念ながら「1.0」であり、会場にいるといってもリングサイドではないのである…
確かに、幾度かリングサイドから生観戦していますが、近ければ近いほど、より「生」だというのは間違いない…
よくミニマム級の選手の試合をテレビで見て、つまらない…なんて声を聞きますが、いやいや、リングの真下で見ると本当にやばい…と僕は感じる。
で、僕は試合結果を聞いたときに、「え?」と感じた次の瞬間、「あぁ、リングサイドだったら臼井優勢に見えたのだろうか?」と、思わず奥歯を噛んだのであります…
もっとも、判定は2-1であるし、そのリングの下で「三枝勝利」を唱えた専門家のジャッジもいたわけであるから、間違いではないとは思うが、しかし、それでも余計に悶々とすることが出てきてしまう…
ボクサーの「切実」、すなわち、その「一試合の重さ」と不釣合いな「曖昧さ」が必ず存在するという不信感である。
さらに、昨晩の興行に限っていえば、6試合中5試合が「スプリットデシジョン」という奇妙奇天烈に遭遇したわけで、これに関しては本当に複雑を感じてしまうわけであります…
とはいえ、ボクサーを叱咤激励する側の人間は「判定が割れるような勝ち方なんかするんじゃねぇ、きっちり勝ちゃぁいいんだよ!!!」なんて言えばよいのだと思うが、しかし、こうもことごとく見事に割れると、やはり、この「曖昧さ」にちょっと複雑になる…
特に、昨晩のミニマム級決勝の「堀川×辻」なんかは、判定直後に堀川陣営がリング上で「有り得ない」と大きなジェスチャーで訴えていて、そして、なぜか敗れたにもかかわらず三賞の「技能賞」を獲得するという現象が起きたわけですが(個人的にはその賞に見合う最高の技術を見せてもらったので嬉しかったですが…)、これもちょっと不信感の種になったようですね…
だって、「不運」なんて実体のないものに「人生を左右される」なんて、スポーツなのにあんまりじゃないか?…って思いませんかねぇ?
さて、愚痴はこのくらいにして、しかし、「ボクシング生観戦道」の奥深さを痛いほど味わった昨晩の「最強後楽園 決勝戦」…
いつかの「亀田長男×ランダエタ パート1」ではないですが、こういう「危うい環境」の中でボクサーたちは「人生を賭けて凌ぎを削っている」わけですが、では、彼らにとって「救い」となるものは果たして何であろうか…? なんて考えてみる。
やはり、結果にかかわらず、その「勇気」と「誇り」をきっちりと見つめてくれる観客の無償の声援と拍手ではなかろうか…?
そんなことを考えながら、お灸の「激熱」に歯を喰いしばってみました…
テレビ中継なかったからあまりたくさんの疑問が集まりませんでしたが、これ、もっとたくさんの目線にさらされていたら、かなり批判の集まる結果だったんではないか…?
と、感じました。
しかし、観戦自体はとても楽しかったです。
もったいないもったいない…であります。
御愛読感謝
つづく